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『ウエディング・ウエイティング』(3) 


 僕はただ、無言で彼女を見る。じーっと見る。むしろ、
「じー」
 口に出して彼女を見る。
「何?」
 彼女こと錦田恵子は不機嫌そうに言う。僕は答えずに見る。
「だから、何?」
 錦田恵子は少し、声を荒げる。
「じー」
 僕はまるで変態のように錦田恵子を見続ける。
「ちょっと、いいかげんに・・・」
 いつも強気な錦田恵子だが、案外こういう押しに弱いことを最近、僕は知った。
「新郎チームは早く、いろはさんを見つけないといけないんでしょう? こんなところで油を売っていていいの?」
 僕は錦田恵子に一歩近づき、彼女を下から上まで見続ける。
「だ、だか、ら、ちょっと、やめてよね・・・」
 流石に不安に思ったのか錦田恵子の言葉に力がない。僕は言葉を発する。
「いろはさんが変装してないか、新婦チームの人を見に来たんだ。」
「いくら、なんでもそんなじっと見ないとわからないほどの変装なんて不可能に決まってるでしょう!!!」
「いや、ケイちゃんを見ていたのはそれとは関係なしにいわゆる視姦という行為・・・」
 バチーンっという低くて鈍い音が会場に響き渡る。音の発生源は当然、僕の頬から奏でられている。僕は重低音を出す楽器としての才能があったのか! まあ、単純に錦田恵子に重い一発をくらっただけなのだが。再び、目の前の錦田恵子を見てみると全身真っ赤にし、第2撃目を繰り広げようとしていた。やばい。流石にふざけすぎた。一撃目の痛みが遅れて頬に伝わってきた時に僕は弁解の言葉を発する。
「ケイちゃん、冗談。冗談。ごめんって」
「ごめんで済むなら警察がいるかーーー!!!」
 恐らく、警察関係者が多数いるこの結婚式会場で再び鈍い音が響き渡った。僕は両頬を真っ赤にして自席に退散せざる負えなくなったのだった。

「あまり、恥さらしなことをするなよ。」
 兄は僕を見ずに窘める。
「少し、友達と戯れていただけですよ。まあ、後で全力の土下座してきます。」
「だから・・・あまり恥さらしな・・・もういい。」
 それにしてもいろはさんが見つからない。一通り見てみたけど、見つからなかった。幸人さんはまだ、探している。このゲームは30分しかいないから、変なところに隠れていないはずだ。あの父親がこの会場内にいると言った発言が嘘でなければの話だが・・・本当に嘘吐いていないよな?
 後、この会場で隠れられそうな場所はやはり、あのでかいケーキの中か。
 流石にケーキを切るわけにはいかないけど、近づいて確認してみよう。
 そう思って、席を離れようとしていたその時、このゲームに無関心だった兄が僕に対して
「目的を間違えるなよ。」
 と聞きなれている言葉を発した。
 僕は焦点が合わないまま兄に振り返り、そして数秒の沈黙の後にはっと気づく。なるほど、自分は何てKYだったのだろうか。
 

category: 自作小説

Posted on 2012/08/19 Sun. 12:29  edit  |  tb: 0   cm: 0  

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