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『ウエディング・ウエイティング』(4)最終 


 全く僕はKYだ。冷静に物事を見れていなかった。兄さんに呆れられるのも無理はない。
 そもそも、新婦の鈴下いろはさんの頑固パパが結婚に反対している素振りに騙された。当事者ではないから、経緯は知らないが少なくとも幸人さんを認め、結婚式を開催しているのだから。
 ・・・そう、これはゲームだ。茶番なのだ。決して新郎チームと新婦チームの中違いさせることが目的であるはずがない。微笑ましい結果になることが両チームの目的なのだ。全く、兄に気づかされた。
 新郎チームの目的は当然、新婦を見つけること。では新婦チームの目的は? 当然、新郎に新婦を見つけてもらうことに決まっているじゃないか。他の誰でもない新郎自身に見つけてもらうこと。僕みたいなどこの馬の骨かわからないやつがしゃしゃり出たのが失敗だったのだ。兄のようにただ見守っている。それだけで良かったのだ。そうすれは恐らく新婦チームは新郎を新婦の元へ上手く誘導する手はずだったに違いない。なのに僕が率先して探し出そうとしてしまったから、新婦チームは僕には見つからないようにする手間を増やしてしまったのだ。本当にKYだったよ。自分。反省終わり。

 残り時間も少ない。僕の方へ駆け寄ってきた幸人さんに僕は言う。
「全く、いろはさんが見つからないです。もう、ギブアップです。見当がつきません。」
 と僕は精一杯の諦め顔を見せて言う。
「そうか、ありがとう。自分の嫁さんを見つけられずにゲーム終了だなんて頼りにならない旦那だと思われるな。いや、それ以前に自分が情けないよ。くじら君、ありがとう。後は自分で頑張ってみるよ。」
 幸人さんは悲愴な顔を浮かべて述べた。
「幸人さんなら絶対見つけられるはずです。むしろ、幸人さんしか見つけられません。当然ですけど、この会場にいるのは新郎チームと新婦チームだけなんですか?」
「僕の関係者といろはさんの関係者しかこの会場には呼んでいないよ。無関係な人は呼んでいない。」
「では、幸人さんといろはさんの共通の関係者はどちらのチームに属しているんですかね?」
「!!」
 少しわざとらしかったかな? まあ、良い。この会場にいる全員が望んでいるハッピーエンドなんだよ。御都合主義最高。二人の出会いのきっかけとなったケーキ屋さんは新郎チームでも新婦チームでもない。でも、絶対この会場にいるはずだ。あの大きいケーキを作って持ってきてくれたんだから。後は幸人さん、頑張れ。


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
 
 案の定、いろはさんはケーキの中に隠れていた。幸人さんがケーキ屋の店主を見つけてケーキを切るナイフを受け取り、ケーキを切ると中からいろはさんが出てくるという趣向だ。

 ケーキから出てきたいろはさんは
「見つけてくれてありがとう。私の騎士様」
 と言って幸人さんにキスをした。
 そして、ナイフを二人で持ちケーキ入刀の続きを行った。
 本当に甘ったるいケーキだこと。

 式はその後、順調に進み、終始和やかな雰囲気で終わった。新婦の父親は男泣きとでも言うのかわんわん泣いていた。面倒くさいおっさんだと思ったけど、娘のことを本当に愛し、幸せを願っているのだろうなと僕も柄にもなくもらい泣きしそうになったのは内緒だ。僕のマイエンジェルこと鈴下 友は大泣きしていた。錦田恵子も目頭に涙を少し浮かべていた。

「良い式だったね。お姉ちゃん。お姉ちゃんのブーケは絶対私が受け取るからね。」
「友!! お前にブーケはまだ早い!」
 頑固パパは相変わらずだ。
「妹だからって贔屓しないわよ。」
 鈴下いろは艶やかな表情を浮かべてブーケを大きく宙へ投げる。
 ブーケは大きく弧を描いて僕の目の前に・・・・僕の目の前に!?
 落とすのも何だのでキャッチしてしまった。あれ、こういうのって確か女の子が受け取らなくてはいけないものだよな~。男が受け取るとどんな御利益があるんだろう?
結婚式に参加していた女性達の会話が聞こえる。
「あの男、空気読んでよ。何しっかりキャッチしてるのよ!本当にKY!」
やめて!KYって今日気付いたばかりだけど、KYって言うのはやめて。というは別にキャッチしたくてしたわけじゃないんだよ。いろはさんのコントロールに問題があったんだよ!

「おめでとう! 全く持ってうらやましいわ。」
 錦田恵子がからかう気満々で僕の方に歩いてきた。
 僕はこの厄介なブーケを少しでも早く手放したかったので錦田恵子に向かって
「あげるよ! 僕よりふさわしい君に。」
 と言ってブーケを手渡した。
「あっありがとう・・・ございます。」
 錦田恵子は少し照れた顔をして受け取った。
「おっとこれは早くも新たなカップルが誕生かーーー!!!」
式場で司会進行役をしていた男性がマイクも無しに大きな声で見当はずれなことを騒ぐので周りから好機な目で見られて本当にまいった。錦田恵子は顔真っ赤だ。

「ケイちゃん、いいなー。」
 鈴下友は羨ましそうな目で僕達を見つめる。しまった。鈴下友に渡せば良かった。全く僕もまだまだ修行が足りない。男子力が足りない。もっと精進しなくては!!
「その前にまず大学に受かれ!」
 兄は辛らつな言葉をぶつけてくる。だから、何故心が読める。
「お前の考えが単純だからだよ。」

 後日、結婚式で食べた甘いケーキは店頭で運命と名付けられて売り出されることになった。僕は切りだされたケーキを3個買い、喫茶店『こうちゃん』へ訪れようと思った。そして、いつもどおりの何の伏線にもならない雑談をしよう。甘ったるい話をしよう。僕もきっと将来結婚する。いつになるかわからないけど、きっとWedding Waiting。結婚は待っててくれる。


category: 自作小説

Posted on 2012/09/02 Sun. 16:28  edit  |  tb: 0   cm: 0  

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